「怒る」ってどうやるんだっけ?
って
数年前のわたしは悩んでいた
今この状況は
怒ったほうがいいような気がするけど
怒るやり方がよく思い出せないから
どうでもいいや
って
20代の自分は
かなり怒りっぽかったことを思い出して
真剣に
怒り方を思い出そうとした
きっとわたしは
怒りだけ
どこかに置き忘れて来てしまった
今ようやく「怒り」が
戻ってきつつある
なかなか思い通りにならなくて
自分にも人にも
めちゃくちゃにイライラしている
喉と胸のあたりが
ざわざわと熱を持ち
わたしは
耳をすませる
大切なエネルギーが
戻ってきた音を
感じている
自分ってこんなんだったっけ
と最近よく思う
以前は
気にならなかったことが
笑っちゃうくらいに許せない
一度許せないと思ったら
もう受け付けない
なかったことにできない
笑えないし
近づけないし
取り繕えない
そのたびにちょっと戸惑い
これではまるで
ワガママな子どもみたいだな、
昔はもっとうまくやれていたのにな、と思う
しかし大人ってなんだろう
麻痺してるだけかもしれない
こないだ若い女の子が言ってた
セクハラが許せないから
顔を見なくて済むようにしている
という話を聞いて
正直なところ
えっ!そんなことで?
と思ってしまった
わたしのいた環境では
そんなの当たり前だったから
目にしてきたものの酷さに慣れて
うまいこと適応してしまううち
なにも感じなくなってしまっている
おかしいのはどちらだろう?
わたしは今
過去のわたしにも
すこし怒っている
あんなにひどいことを言われて
なぜニコニコしていたんだ
なぜ怒らなかったんだ
なぜもっと
自分を守ってあげなかったんだ
そうだ
わたしは怒りを置き忘れた
あのときあの場で
怒ることすら
取り上げられてしまったのだ
怒ることそのものが
間違ったことだと
正しくないことだと
思わされてしまった
わたしは「怒り」を
自分の手に
取り戻したかった
そう
わたしは怒っているのだよ
ちょー怒っている
あらゆるすべてのばかばかしいことに
ばか
あほ
死ね
いてまえ
怒れて嬉しい!
そういう
どこにも向けようのなかった
ぶつけようのなかったエネルギーが
夏のめんげんみたいに
肌の中から突き破ってくる
秋口はいつも体調が悪く
肌はいつもほんとうの気持ちを主張している
からだがとても痒い
掻きむしって
身体の中から
出してやりたい
身体の痒みは
怒りそのものなのだという
蕁麻疹が
秋風に乗ってやってくる
置き忘れて
わたしのもとへと
戻って来た怒りが
わたしをとても
苛つかせている