あなたを見ているとき
わたしは
あなたの後ろに隠れた
わたしを見ている
そして
わたしがわたしを見ているとき
わたしは
わたしに重なる
あなたを見ている
まるで鏡のように
好きだから
とても
大切だから
うまく動けない
好きだから
離れたくないけど
嫌われたくないから
近づけない
知ってほしいけど
知られたくない
見てほしいけど
見られたくない
好きになってほしいけど
好きになってほしくない
わたしもたぶん
おなじ気持ち
抱きしめられたいという気持ちと
抱きしめたいという気持ちは
おなじだということを
わたしは初めて知った
あなたに向ける愛と
わたしに向ける愛は
まるで同じものだから
あなたを満たすために
わたしを満たす
あなたに伝えたい言葉が
鏡のようにまっすぐ
わたしに跳ね返ってくる
あなたに怒っているとき
ほんとうは
わたしはわたしに怒っている
あなたに愛されたいとき
ほんとうは
わたしはわたしに愛されたい
そして
あなたに伝えたい言葉は
あなたを通じて
わたしがわたしに
伝えたい言葉だと思う
あなたの気持ちが
わかるのは
鏡に写った
わたしのことだからだよ
わたしたちのあいだで
なにが起きているのだろう
あなたには
わたしの知らない
わたしが見えている？
わたしはこんなに近くにいるのに
わたしのことがいちばん
分からない気がするよ
あなたのことがわからないのと
同じくらいに
わたしはわたしがまだ
わからない
わたしがほんとうに
欲しいものは？
求めているものは？
自分のことがいちばん
よくわからないから
目の前のことに必死で
それどころじゃないから
ずっと
後回しにしてきたけど
あなたは誰なの
わたしは誰なの
わたしは
あなたを通じて
わたしのことをもっと
知りたいのかもしれない
愛したいのかもしれない
