役に立とうとしてきたんだ
いい子でいなきゃと思ってた
わたしは
いちばんお姉ちゃんだから
かわいそうな母を
守りたくて
味方になりたくて
お父さんも
おばあちゃんも
ほんとうは
みんな大好きだったけど
嫌いになってあげた
忠誠を誓ったんだ
母を守らなきゃ、という思いが
相手を変えながら
人生のあらゆる場面で
わたしを騎士のように
ふるまわせてきた
いい子でいればいるほど
大切にしてもらえないなら
女の子が騎士になっても
なにもいいことはないさ
ただそこにいるだけで
愛されてよかったのに
お姫さまみたいに
ほんとうは
はじめから
ひどい矛盾だろ
役に立つ人間の方が
愛されると思っていたのに
役に立たなくても
愛されるだなんて
だれも教えてくれなかった
食器棚には
いろんな器があって
どんな場面でも
オールマイティーに
役に立ってくれる子もいれば
欠けてるけど
かたちが可愛くて
見るだけで嬉しくなる子もいる
わたしは
こんなふうに
欠けちゃってもなお
よしよしと愛でてもらえるような
そんなふうになりたい
わたしは人生の前半戦で
もうじゅうぶん
いい子をやったから
これからは
かわいい子をやりたいな
たいして役にも立たないけど
代わりが効かないような
笑ってるだけでいいとか
ただいてくれるだけでいいとか
はじめから
そう言ってくれてたのに
わたしが
わたしに
それを許可できなかったんだね