listen こえびメモ

リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

ゼリーのような時間の夢

 

こんな夢を見た。

 

二度寝、三度寝するあいだにも

よほど忘れたくなかったのか、

夢の中でも、さっきこんな夢を見たの、と誰かに話していた。

 

 

 

 

 

 

ライブ会場のような空間で

みんなが移動するのに合わせて、

のろのろと前の人について行く

 

そこは地元の古い小学校で

体育館の床がつるつると光っている

 

出口にはスタッフが

人員誘導のために配備されている

 

 

 

 

 

人は多いけど雰囲気はいつになく和やかで

前の方で知人がひとりのスタッフに話しかけている

 

ふとそちらを見ると

なつかしい顔の彼がスタッフとして立っているのだ

 

現実にはその人はもういないはずだから

あれ?と思いつつ

わたしは思わず駆け寄って手を握ってしまう

 

「ねえ!え、なんで?元気だったの?」

 

握った手はとてもあたたかく

彼はすこし照れくさそうである

 

 

 

 

 

「あれ…おかしいな

どうしてこの人がここにいるんだろうか」

 

わたしの知っている限り

彼はすでに亡くなっているはずなのだが

 

その違和感、そして驚いているのは

どうやら自分だけのようである

 

嬉しい逢瀬ではあったのだけど

わたしはずっとその理由を考え続けている

 

 

 

 

 

 

おそらく…

おそらくここは

ここは彼が「死ななかった」ほうの

世界線なのではないか

 

そんな可能性がふと

夢の中で、心に浮かぶ

 

きっと些細な分岐だったはずなんだ

あっち側と、そっち側の分かれ目は

 

そして失われたあちら側の可能性は

常にどこかの時空に同時並行的に存在していて

そこで彼は元気に生きていたということである

 

 

 

 

 

きっとわたしは何かの拍子に

ここへ飛んできてしまったのだろう

 

何故かそう思った

 

 

 

 

 

この世界はいつになく和やかで

わたしの愛するすべての人々が、

わたしが知る中で最も

幸せそうな気がする

 

おそらくここは

すべてが「うまくいったほう」の世界なのだ

 

ずっとここにいられたらいいのに、と思う

 

 

 

 

 

ふと、窓の外を見ると

空の色や光の感じ

樹々のデザインが、

わたしの知っているものと

微妙に違っているのだ

 

ただし夢の中では

それがどの部分に対しての違和感なのか

はっきりとは自覚していない

 

 

 

 

 

たとえば...

木の葉の生え方が違う

葉はすべて木の幹から直接生えていて

海の中をただよう海藻のように

青空の中をゆらゆらと動いている

 

窓の外には美しい庭があり

うすい葉の一枚一枚に、こぼれるように光が透けている

 

空気と水中には微妙にタイムラグがあるように

妙にもったりと、ゆっくりとした空気が漂っている

 

「時間はゼリー」

 

 

 

 

 

何も心配することはなかったのだ

だってわたしは今

いちばん素晴らしい可能性を束ねた世界線

偶然たどり着いた旅人であり

 

そこへ行く方法を

おそらく自分はすでに知っているのである

 

 

 

 

 

 

夢から覚めてからも

高揚感が消えない

 

これはただの夢なのだろうか

ほんとうは、それこそが現実ではないか

 

 

 

時空をジャンプする

時間の旅人

 

日常のあらゆるところに

その黒い穴は存在していて

時間が伸び縮みするのはそういうことだろう

 

穴に落っこちるのではなく

洞穴のハンドルを握りたい

 

わたしたちは世界を

思い通りにデザインできる