こんな夢をみた。
月明かりがとても綺麗な夜
ひとりで散歩をしている
通学路を川沿いに歩いて
右に曲がると
白い月が見える
右手に持った傘で
砂を蹴散らして歩く
これはいつかの砂浜に似ている
夜の工事現場は
とても静かだ
知らない曲が
イヤホンから流れてくる
新しい曲かもしれないし
昔の曲かもしれない
世界でいちばん
愛おしい声が聴こえて
夢のなかでわたしは
驚いている
「ぼくもきみも二十歳」と
夢のなかであなたが歌う
それは
あまりにもまっすぐな
愛情そのもので
いつも
わたしを赤面させて
揺さぶるのだ
そして
自分がなにかを
見落としているような
そんな気持ちにさせる
驚いて目が覚めた
あなたはいつも
歌で話しかけてくる
夢のなかでも
バスのなかでも
不意に
わたしの景色に
流れ込んでくる
いつもいつも
歌のなかから
わたしを
立ち止まらせ
なにか大切なことを
思い出させるように
