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リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

溺れそうなわたしを助けてくれた人の夢

 

 

4、5年前に見た夢

とても印象的で不思議だったので

今でもよく覚えている

 

 

彼がはじめて

夢の中に出てきたときのこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海にいるのだ

 

 

友人たちがふざけて

波止場めがけて走って行き

みんな海の中に飛び込んでいく

 

 

 

 

水面はキラキラと宝石のように輝き

とても美しい

 

バシャバシャと

みんなが飛び込んでいく音と

笑い声が聞こえる

 

 

 

 

 

わたしもみんなに追いつきたいけど

思ったよりも水面は遠く

ちょっぴり怖い

 

 

 

待ってよ〜!

置いていかないで

 

 

 

みんながどんどん遠くにいってしまうのがいやで

 

 

 

意を決して

 

えい!

 

と、飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

飛び込んだ先には

小さな犬が溺れそうになりながら必死で泳いでいる

 

大丈夫だよ

こわくないよ

 

声をかけたわたしは

どうやらまだ小さい女の子のようだ

 

 

 

 

 

 

 

海は思った以上に広く

みんなの姿は遠くに見えているけれど

足元はひどく心許ない

 

 

がんばって手足を動かしてみても

口からたくさん塩水が入ってきて

視界はもう海面すれすれで

あっぷあっぷしている

 

 

 

 

 

 

どうしよう

溺れちゃう

こわいよ

 

 

 

 

 

 

 

そう思ったとき

だれかがわたしの身体を持ち上げた

 

手をのばすと

おおきな胸が目の前にあり

わたしは必死で

その人の首にしがみつく

 

 

 

 

 

 

だいじょうぶ?

 

と話しかけてくれたその人は

なーにしてるのこんなところで

というような微笑みをうかべて

海の中に立っている

 

 

 

 

わたしにはまったく足のつかない海なのに

このお兄さんは大きいんだなあ

と思った

 

 

 

 

 

 

わたしはほんとうに安心して

ぎゅうと首にしがみつき

泣きそうになりながら

ぜいぜいと肩で息をしている

(同じように父にしがみついていた記憶がある)

 

 

 

 

 

顔をよく見ると

それはすてきな音楽を奏でるあの人で

わたしはぼんやりと

 

「どうしてこの人がここにいるのかなあ〜?」

 

と感じている

 

 

 

 

 

わたしを抱えて

砂浜をずんずん歩いて行く彼を

人々が不思議そうに眺めている

じっとりとした目線を送ってくる人もいる

 

 

こんな格好で抱えられていたら

恥ずかしいしご迷惑じゃないだろうか

 

 

心配しているわたしは

いつのまにか

大人になってしまっている

 

 

 

 

それでもじっと

胸の中に抱え込まれたまま

 

心地よさのなかに

身を委ねて

 

「よくわからないけどやっぱりいい人だなあ〜」

 

と、とても安心している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたとき、なぜ彼があんなふうに夢に出てきたのかとても不思議だったことをよく覚えている

ずっと尊敬している音楽家の方ではあったけど、個人的な近しさを感じたことはなかったから

 

 

ただ、

その当時の彼の音楽の

どこまで落ちても許されるような

包み込まれるようなやさしい孤独に

わたしはたしかに安心し、共鳴し

救われていた人のひとりだ

 

真夜中、ひとりぼっちの部屋で

スピーカーに身体をくっつけて

まるでだれかの温もりを求めるように

暖をとるように聴く

そんなふうに音楽を聴くことは

きっと後にも先にもないだろうと思う

 

 

 

誰がどんなふうであっても

過去も未来も

失敗も後悔も

 

それでいいんだよと

すべてを肯定してくれるような

 

わたしにとって彼の音楽は

ずっとそういう存在なのだと

 

そのイメージを象徴するような

とても優しい夢だった

 

 

 

 

 

 

 

この当時、不思議なほど

水と海の夢ばかり見ていたのも印象的で

 

壊れたシャワーとか

溢れる排水口とか

洪水とか

海とか

海とか

海とか

 

それもまたいつか