8月は
なんだかちょっと
変だった
空も世界も
混沌としていて
無防備でいたら
まっすぐ煽りを
くらってしまった
土砂降り
ざあざあ
かなしみと
怒り
不安の
はげしい濁流に
溺れそうになりながら
ただ
時間に身をゆだねて
じっと待つ
泣き疲れて眠る
ひと晩の冬眠の
踊りきったあとのような
不思議な心地よさ
ふと目を覚ますと
すこし
空気が軽くなっている
しん、と
静まりかえった明け方
わたしの音だけが
とくとくと響いている
嵐のあとの
こわいほどの静けさ
empty
からっぽの空白
ぜんぶ
さらわれて
流れていったあと
箱の底にひとつだけ
ぽつんと
残った気持ち
泥のなかで
まっすぐ顔をあげて
咲いている
それでも
やっぱり
ただ無条件に
好きだと思う
ただ、
大切だと思う
理由のない
気持ち
ちいさな
雑草みたいな花が
わたしをまっすぐ
見上げている
その
揺るぎのなさが
わたしを
支えている