ひとつ漕いだら
ボートは少しすすむ
漕ぐのをやめたら
ボートは止まってしまう
わたしはたくさん
がんばった
きみの気持ちを
時々
きみよりも
耳をそばだてて
一生懸命、感じてきたと思うの
わからないけど
わかるような気がする
ただその感覚を信じて
ここまできた
ずいぶん前のことだけど
きみが
自分から
誘ってくれたときのこと
思い出したんだ
誘ってくれたことが
嬉しかったな
求められたという
ただそのことが
嬉しかった
恥ずかしくて
言えなかったけど
わたしがきみと
行ってみたい場所は
星の数ほどある
映画館
公園
美術館
海
スーパー
図書館
古道具やさん
イケアもいいな
ディズニーランドなんて
子どもっぽいかな
世界にちりばめられた
たくさんの
美しいもの
おいしいごはん
おいしいビール
それから
それから
きみがいれば
どこでも
きみが行きたい場所は
どこ？
連れていってくれたところ
ぜんぶ覚えているよ
思い出すたびに
嬉しくなる
きみにとって
大切な場所は
わたしにとっても
大切な場所
恋なんてあまり
してこなかったから
これからどうしたらいいか
わからないんだ
知らないことばかりだけど
教えてくれたらきっと
もっとじょうずに
漕いでいける
ちいさなボート
いっしょに漕いだら
もっとまっすぐ進むかなあ
いっしょに
こころのなかを
飛び出そう
今この瞬間
生きているわたしに
さわって
手をつないで
あなたの隣の
あたたかさを
ずっと
感じていたい
