ここしばらく
こころが感情の坩堝のように
瞬間ごとに姿をかえるので
うまく捕まえられない
ぴん、と張り詰めていたものが
すこし緩んで
ようやく
ほっとしたように
堰き止めていた波が
どっと押し寄せてくる
ある日は波の上でバタバタして
ある日は深い底に潜るように
いったいどれがほんとうなのか
たぶん
どれもほんとうなのだ
色から色への
無限のグラデーション
ひとつひとつ解いていけば
もとの鮮やかな色に
辿りつくだろう
感情のレイヤーは
複雑に重なりあって
なに色なのか
わからない
わたしの夢にはここのところ
大嫌いなあの虫がたくさん登場する
うまくやっつけられた日もあったけど
昨日は数があまりにも多すぎて
動けなくなってしまった
怖いというよりは
諦めと絶望で
マイペースなわたしのお爺ちゃんが
ひょいと現れて
わたしを自転車に乗せて
虫の大群を気にせずにすすんでいく
身体にあたる虫の感触に
鳥肌がたつ
おぞましい
こんなのは到底むりだ
ここから消えてしまいたい
自分の中から
ぞわぞわと湧いてくるような
コンプレックス
見たくない気持ち
心にべったりと
まとわりついている感覚を
なんて呼べばいいのか
わからない
おじいちゃんは
なんやお前なさけない
と言って
とんでもなく細い川幅を
ひょいひょいと進んでいく
まるで
虫なんてどこにも
存在しないかのように
