あなたがよく夢にでてくる
ふしぎなくらい
毎日
いまも
わたしは夢のなかで
すっぽり包み込まれていて
ふわふわの綿菓子のような
ミルクとはちみつのような
甘くて甘くてやさしい
ふっと目覚めたとき
さっきの感覚が
あまりにも当たり前のような
あたたかさだったから
そうだった
今わたしのとなりに
あなたはいないのだった、と
この現実のほうが
虚構のようで
さっきのあたたかさが
なつかしくて涙がでた
この状態に
すこし疲れてしまって
どこかで諦めて
あなたのいない世界を
生きようとしている
わたしを
引き止めるように
安心させるように
あなたは今宵
会いにきた
夢のなかでも
わたしたちは
ふたりになれない
必ずそばに
誰かがいて
なかなかお喋りもできない
ノイジーでうるさく
あなたの声も聞こえない
だけど
それでも
あなたは確かに
わたしに
会いにきた
「歌はただの歌だから」
そうだよね
でも
ただの歌から
届くものはいつも
とてもとても優しく
あの時わからなかったことが
だんだん
わかるようになってきたよ
いつも届いている
このひかりに
目を細めて
わたしを
あなたに委ねてみる
力を抜いて
呑み込まれるように
宝物を盗みにきて
ゆっくりと呑み込んで
だれにも奪われないように
境目がなくなるほど
キラキラに溶けて
あなたのなかに
沈んでしまいたい
