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リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

怒りで叫びだしたいのに声が出ない夢

 

こんな夢をみた。

過去の感情の再現のようなかなり重苦しく不愉快な夢なのであんまり人に読ませたいものではない

ただ自分の中でとても重要な感じがするので記録しておく

 

 

 

 

 

祖母がつくるサンドイッチがとても評判だということで、メディアが取材にくるのだという

 

肉厚の卵焼きがサンドしてあって、見るからにふわふわと柔らかそう

カリカリのベーコンが挟まったやつも美味しそうだ

 

大きなお皿に並べていくのを手伝う

おばあちゃんはとても嬉しそうだ

 

 

 

 

いそいそと彼らを待っているとき

不意に、取材なんて初めからなかったのだと気がついてしまう

 

もしかしたら祖母の勘違いなのかもしれなかった

 

 

 

 

「いややわおかあさん、もっと上手な人なんぼでもおるのに取材なんか来るわけないやん」

母が大笑いして言いはじめ

 

「いらんのやったら俺にくれよ」

弟が端からちゃちゃを入れる

 

 

 

 

せっかく準備したお皿と、期待してしまった自分を、恥ずかしそうに笑うおばあちゃんがいたたまれなくて

わたしは祖母を傷つけないように考えた

 

自分で取材して、自分のメディアに載せたらいいのではないかと思ったのだ

 

 

 

 

 

「わたしこういうのやってみたかってん」

「ほんものみたいやろ」

 

カメラを引っ張り出し、三脚を立てて

お気に入りのお皿に、それらをもう一度美しく並べ変えはじめる

 

「あんた気遣ってるのとちがうの」

「違うわ、そういうのじゃないねん」

それは半分うそだったけど

 

「おばあちゃんのサンドイッチな、昔はみんなよく食べに来ててんよ、ほんまなんよ」

「そうなんや、すごいなあ」

「とっても美味しい美味しいゆうて、みんなに評判やったのよ、ほんまなんよ」

「そうなんや、さすがやなあ」

 

一生懸命、あいづちを打つ

この人が自嘲的に諦めたような表情をするのを、わたしはもう見たくなかった

(わたしの本当のおばあちゃんはサンドイッチなんて作らなかったしこんな気弱な人でもなかったのだけど?)

 

 

 

ふたりで一生懸命みっつのお皿を完成させ

スタジオ風の照明のもとに並べようとしたとき

ふたつのお皿が見つからないことに気づく

 

「あれ、ここに置いておいたはず、、」

 

人が集まっているリビングの中を

あちこち探しはじめる

なんでないんやろう

ドキドキしはじめる

 

 

 

 

ふいに母がとぼけた表情で

空っぽのお皿を差し出してくる

「あら!みーんな食べてしもたわ」

 

ゲームをしている弟と弟の友達が、口をもぐもぐさせている

「なんや姉ちゃんまだやってたん」

 

「あほらし、そんなチョコチョコ細かいことしてるからやん」

「食べたらアカンのやったら言ってくれやな」

母はいつもの調子でまったく悪びれない

 

「いや、見たらわかるやろ!わたしらが一生懸命やってたの見てたやんか」

 

あまりのデリカシーのなさに呆然としながら

ほとんど泣き出したくなるような気持ちで、しつこく食い下がろうとする

 

そんなこと言ったって、もうないもんなあ?

あまりに一生懸命なわたしが可笑しいのか、

母は堪えきれずクスクスと笑いはじめる

 

その顔があまりにも腹立たしく

泣きながら抗議すると

 

 

「しつこいで!」

 

何も知らない父が割り込んできて、

その瞬間、わたしはまた悪者になった

 

 

 

 

「しょうがないやん、あんたも悪いで。おばあちゃんが野菜炒め作ったるからそれでええか?」

祖母ははやばやと闘いを諦めてしまって、フライパンでなにかを炒め始めている

さっきまで作品を一緒につくる仲間だった人は、ただのおばあちゃん役の人に戻ってしまった。

 

 

なんで野菜炒めやねん、、!!

 

 

わたしがあなたのために、どのくらい心を砕いて今こうなっていると思っているのだろう

結局この人たちは、本気でとりあってくれる気がないのだ

 

 

 

 

 

わたしが頑張って貫こうとしていることは

この人たちにはひどく無意味に見えるのだろう

 

 

 

 

 

 

最初からそうだったやん

 

言っても伝わらないし

食い下がったところで悪者になるだけだから

もうやめよう、こんなことは

疲れてしまうだけじゃないか

 

理解してもらえるわけなかったのに

何を一生懸命がんばってたんや

 

 

 

 

 

 

 

「そうだよね!わたしが間違ってた」

「いつもわたしのせいなんやし」

「あほらし、もうええわ」

 

 

反抗的に捨て台詞を吐き捨てて

ひとりになれる場所に逃げ込む

 

 

目の前で起きたことに呆然として

悔しくて泣きそうになりながら

リビングを出て二階へとあがると

 

 

「そうやそうや!あほが、せいせいしたわ」

 

 

背後から父の声が聞こえてくる

 

 

 

 

 

 

明るい日差しの入る床に両手をついて

床の模様をじっと見つめる

 

 

 

わたしの大切にしていることはいつも

大切にしてもらえないのだな

なぜあんなに必死になってしまったのだろう

こうなることは予測できたはずなのに

なぜわたしの努力はいつも空回りするのだろう

 

 

 

「どうしていつもこうなるの!?」

 

 

ひとりで床に向かって叫ぼうとするけど

うまく声が出ない

 

 

喉の奥が重苦しく

かすかに息がもれるだけで

声にならない

 

そのことにまた腹が立ち

声の代わりに涙が出てくる

 

 

 

 

 

 

わたしはほんとうは

その理不尽に

思いきり大声で怒って叫びたかった

 

 

 

 

 

目が覚めてからもまだその感情が消えず

うとうとしながら、

夢の中のセリフをつぶやこうとするけど

 

頭の中では声がするのに

わたしの叫びはいつも

ただのささやきにもならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古い古い感情が、かなり生々しく蘇ったので

今これを書きながらまた涙が止まらなくなっている

怒りや悔しさは受け止めてもらえないものとして

また、嫌われるものとして

奥の方に仕舞い込んでしまっている

 

 

昨日、職場ではじめて、同僚と言い合いになったことを思い出し、あれは腹が立つことだったけど、わたしを怒らせるなんてなかなかやるなとも思った。

あちらが怒りを先に発動させてくれたから、わたしも怒りで応えることができたのだと思うと、あちらがどう感じているかはともかく、わたしを怒らせてくれたことは本当にすごいことだと思った。

わたしが怒りを出せる人はとても少ないから

そう思ったらありがたくてまた涙が出た。

 

 

今朝の夢を見てから気づいたのだけど、はなから関係性を諦めている人に対して、怒りは湧いてこない。

この人なら受け止めてくれる、と思える人にだけ見せられる特別な感情

怒りはわたしにとって隠し扉なのかもしれない