こんな夢を見た。
ここ数週間
ずっと心の内側で葛藤が続いていて
夢は見なかった
妙に観念的で形のない
頭の中で仕事していたり計算したり考えにふけっているみたいな
夢を見る時間も惜しいのかもしれない
ちゃんと色と形のある夢は久しぶりだと思う
テレビで夕方のニュースをやっている
田舎の田園風景とあぜ道
淡々としたナレーションが流れる
遺伝子研究の権威がここに住んでいるのだという
「こちらでは本日、パンダの繁殖に成功しました」
どう見ても普通の一軒家なのだけど
カメラは研究所の内部に入っていく
ピンク色と水色のパンダらしいものは
どう見てもピンクのもじもじくんスーツを着た人間なのだけど、テレビを見ているわたしはそれがパンダだと信じて疑わない
ここは研究者の自宅でもあり
たいへん情熱的で、ついには家の中で世話をするようになったのだと語っている。
そのうち好きな色の個体を生み出すことができるようになりました。ハッハッハ。
かわいいでしょう？
ぜんぜん可愛いとは思わなかったけど
「わーすごい！かわい〜」
と声が聞こえる
自分がそうつぶやいているのだ
誰かがグッと腕をひっぱる
そんなもので騙されちゃあかん
と言っているようだ
山あいにはちょうど夕日が沈んでいくところで
顔が逆光で見えなくなった
だれかに抱きしめられる
彼はわたしの耳元で何かを伝えてくる
そういうことだったんだ、と思う
Every little thing gonna be all right.
早朝の光を感じる
これは夢で、もうすぐ醒めることを知っている
まどろみの中で、
わたしは久しぶりの安心感をたしかめる
そうか、そういうことか、
と、その言葉をたしかめる
目がぱちりと開く
さっきの安心感とぬくもりがじんわり残っている
だけど
なにを話したのかはもう覚えていない
必死で思い出そうとするけど
どこにも残っていない
ことばは跡形もなく消え去り
その逆光のシルエットだけが
脳内にリフレインする
