ここでこっそり告白するね
寒い冬が去って
春が終わるまでのあいだに
わたしは何度かきみの夢を見た
夢の中でもずっと
遠い場所にいた
ステージの端っこから
あるいは
遠く離れた後ろ姿に
一度だけ、夢の中で
ギターがぼうぼうと燃えたことがある
その炎はひとりのスタッフに燃え移り
校舎にもくもくと煙が上がった
寒い冬の朝でした
目が覚めた時、心臓がバクバクしていた
ひどいことしてごめん
許してね
つい数日前の夢のこと
あんなに遠くにいたきみが
船の上で、わたしの腕の中にいた
ちいさな黒猫のように
起こしちゃいけないので
動けなかったけど
とても気持ちが良さそうだったので
まあいいか、と思いました
みんなに笑われたよ
青空の下で
船はぷかぷかと浮かんでいた
夢の中から抜け出して
再会したとき
あたたかい初夏の午後
にぎやかな親子の笑い声を聞きながら
久しぶりに会えた仲間と
傷をたたえあうような
そんな安らぎが
ふわっと胸のなかに広がりました
マスクからのぞく優しい瞳に
やっぱり吸い込まれそうになり
よくがんばったね
ながい道のりだったね
きっともうだいじょうぶ
そんなささやきが
聞こえたような気がしました
