それはとても
シンプルなことで
あまりにもシンプルすぎて
難しかった
あなたがたくさん
掌にのせてくれた光を
うまく受け取れなくて
ごめんね
こわかったから
背を向けてしまった
ささいなことを
心いっぱいに広げて
やわらかいところが
傷つかないように
かちこちに凍った
わたしの心が
すこしずつ
ほどけて
溶けていく
近づいて
離れて
ピントが合うとき
大切なものが
ずっとそばにあったことに
気づく
なんてやさしい色をして
健気に咲いているのだろう
うつくしい花の揺れるさまを
わたしはようやく
まっすぐに
見つめはじめる
あなたがくれた光が
ながいながい時間を超えて
いま
わたしのなかを
滑り落ちていく
きらきらと
砂時計のように
いちばん暗くて
やわらかいところを
あたたかく照らして
満たしていく
