こんな夢をみた。
ライブハウスの端っこにいる
いつのまにか連れてこられて、
わたしはすこし手持ち無沙汰だ
友人たちはどこかに行ってしまった
ひまなので歩き回っていると
たくさんの部屋があって
ガラス張りになったそのひとつで
一人のミュージシャンが演奏をはじめた
顔をしかめたり歪めたりして
とても苦しそうなのだけど
かすかに美しい音が聴こえる
わたしはその前に腰掛けて
その人を観察しながら待つことにする
音はあまり聴こえないけど
その表情が面白いと思った
別のステージで演奏が始まろうとしている
だれかが話しかけてくる
「ほら、昔おまえが作った歌詞だよ」
ステージに立っているのは見覚えがある顔だ
バンドは4人編成で、皆とても若い
そしてわたしも若いのだと思う
不意に、環状線が重なって
‥
そんなの僕がぶっとばしてやるよ
さよなら、さよなら(コーラス)
ん?なんかチャゲアスのような歌だな?笑
自分が書いたとはまったく思えないが
とてもいい歌詞だと思った
それはとてもまっすぐな曲で
そのまっすぐさを懐かしみ
わたしは涙ぐんでいる
びっしり並んだ壁のポスターは
知らないけど見覚えがあって
いつかの誰かに重なる
時代はループしているから
大切そうに楽器を抱えた
若い音楽家がすれちがう
だからここは交差点なのだ
ぼんやりと座り込んでいると
となりにだれかが立っている
わたしの耳元で
歌を口ずさんでいる
このうたしってる?
って言いたいみたいに
知らない曲だったけど
とても美しかったから
もうすこし聴いていようと思った
ふと目が合って
にこりと笑ったその青年が
「 」
なにかとても大切なことを言った
そうか
だからこうして
歌ってくれたのだなと思った
メロディも歌詞も
その大切なセリフも
目覚めた瞬間だけかすかに覚えていたけど
もう忘れてしまった
あれは誰だったのだろう
夏はもう終わるね
さよならが交差する
あの世も、この世も