光が見えてくると
闇が恋しくなり
暗い海の底に
身を落としたくなる
振り子が
右に振れたぶんだけ
左に戻ってくるように
矛盾するようだけども
そうしてバランスを
とっている
おそれているのは
幸せそのもので
失うくらいなら
はじめから
ないほうがましだと
こころの中で
奇妙な間違いが
起きている
おかしいな
やっと見つけた光なのに
うまく近づけない
素直に欲しいと
思えない
ほんとうの気持ちを
感じないように
邪魔をしているともいえるし
守っているともいえる
自分が拒絶されていると
思っているとき
心の深い深いところで
わたしこそが
拒絶しているのではないかと
そんなことに気付いて
袋小路に
ぺたんと
座り込む
素直に生きることは
とても難しい
欲しいものを
欲しいと言う
とても自然なこと
街をゆく人々はまぶしい
素直ですてきだ
不思議で仕方ない
なぜそんなふうに屈託なく
生きられるの
ひかりに向かって
一歩ずつ
近づいていく
近づくほど
影は濃くなり
まぶしすぎて
なにも見えない
この道の先に
なにがあるの
わからない
こわい
こわいなら
立ち止まってもいい
しばらく座り込んで
泣いたっていいのかも
ぜんぶひとりで
抱え込むのをやめられたとき
世界を信じて
手を差し伸べることが
できたなら
きっと
握り返してくれる人が
どこかにいる
