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リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

2回目の春

 

 

東京に来てちょうど1年経つ

すごく遠い昔のことのように感じる

 

いまだに不思議に思うことがあるよ

なぜいま自分がここにいるのかと

 

 

 

 

 

ある日ふと思ったのだ

「あ、東京いこう」って

 

気持ちよい初夏のある日、

食器を洗っているときに

それはやってきた

 

 

 

 

ほんとうはずっと

心のどこかで

感じていたのだ

 

ここには

たいせつな家族がいて、

友達がいて、お客さんがいて

それでもやっぱり、ここじゃない

 

世界とわたしの間は

ガラス越しのような孤独感で

くっきりと分離しており

 

半分眠ったまま

遠いどこかに

ずっと想いを馳せながら

 

 

 

 

 

 

その日やってきた確信は

羅針盤のように

新しい場所を指し示し

わたしの心を弾ませた

 

理由はよくわからないが、

船長がそう言うなら、と

まっすぐにハンドルを握って

ここまで来た

 

 

 

 

 

 

 

 

意気込みもなく

後悔もなく

 

不思議に思いながら

よくわからないまま

 

自然と大きな空と川が大好きなわたしが

都会の真ん中のちいさなアパートで

 

前よりもずっと

豊かな気持ちで生きている

 

 

 

 

 

「帰りたいと思わない?」

 

うまく言えないけど…

わたしにとってはたぶん、

ここが、

そうなのかもしれない

 

ふるさとということばが

心のなかにあるのだとしたら

 

ぴったりと嵌る

パズルのピースみたいに

 

ここではわたしは

深く息を吸って

吐くことができる

 

 

 

 

どんなに寂しくても

どんなに怒ってても

 

ひとりでいても

ひとりじゃない

 

心のなかの

深い、深いところで

いつも繋がっている

 

まっすぐに注がれている

あたたかいひかりが

 

うちのベランダの

陽だまりになって

この部屋を

あたためるよ

 

 

 

 

 

 

ふわっと

扉が開いていく

 

芽吹いていく樹々が、

ちょこちょこと歩くちいさな犬が

近所の掲示板のお知らせが

わたしの扉をノックする

 

 

2回目の春がやってきたんだね