テレビを消して
本を閉じて
わたしだけを
見ていてほしい
わざと視界を遮って
じゃましたい
猫みたいに
きみの瞳に
だれも映らないように
通せんぼして
だれにも盗まれないように
鍵をかけて
ぐるぐるまきにして
心の裾を
ぎゅっと掴んでいたい
おずおずと
ピアノの中に
両手を浸して
まさぐる
水のなかに
漂う欠片に
いつか指先が
ふれるのを
期待して
きみを
知りたい
おなじ言葉
を
理解したい
なんて
ちっぽけで
恥ずかしい
言えっこない
ほんとうの
ことは
さみしいときに
さみしいなんて
猫になりたい
きみの手のひらに
からだをすべらせて
ギターの間に
割って入りたい
それでもきっと
仕方ないなって
笑ってもらえる
やわらかくて
わがままな
猫になりたい