薄汚れたビル
バラック屋根の空き家
近くで見ると冴えない景色も
向こう岸からながめると、
ひとつの規則性をえがいた
ある種の美しい集合体になる
その集合体は、
さらに離れてながめると
ひとつの街になる。
その立方体の部屋に、ちいさな灯りがともる
窓のひとつひとつに、人の営みがある。
近づいてみる景色
遠くからみる景色
カラフルな点と点が集まって
さながらモザイクのように形をえがく
その点のひとつひとつが
わたしであり
あなたであり
この世界のかたちを構成する、
ひとつのピースだということ。
ひとつ欠けても成り立たなくて
どんなに役に立たなかったとしても
いなかったことにはできない。
私たちが相互に作用しあっている。
ただ、それだけのこと。
この世界に、生きているということ。
あなたがいて、
わたしがいるということ。