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リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

逆さまの地上と水中、半分死んだ人たちの夢

 

こんな夢を見た。


家族と旅行に来ている。
ここは、地上と水中が逆になっている唯一の場所だそうだ


ナポリにある青の洞窟のように
その場所だけ、まるく陽が射している
それはとても珍しくて美しい光景だった

「気をつけてくださいね、地上と水中の境目のところは、
水が飛沫上に逆流しています、器官に入らないように」

アナウンスが聞こえる

「空気のある場所はその一帯のみとなります」
「みなさまどうか逆流に飲み込まれませんよう」

あわてて空気を吸いに戻る。
乱流が起きていて、抵抗が強く、どうしても空気のある場所に戻れない
瞬間、グッと手を引かれる!

両手を床につき、すう、と、深く呼吸をする
ありがとう、危なかった。

 


あたりを見渡す
呼吸ができなくなることを知らず、
まだ泳ぎ回っている人が大勢いる
気づかないまま楽しそうに
ゆっくりと仮死状態になっていく

目を閉じて冷たくなっている大勢の人がいる
彼らは右手で持ち上げられるブリキ人形で
おそろしく冷たくて軽い

「大丈夫ですか!!」
「目を開けてください!!」

必死で救出作業にあたる

幾人かは助かり、
幾人かは眠ったままだった

 

 

その事故では多くの人がなくなったと聞く
大切なその人も、その事故で亡くなったという

素晴らしいひとだったのに
ほんとうに尊敬していたのに

ショックで信じられず
街をさまよう

 

見覚えのある路地裏で、彼を見つける
ちいさな階段に座り込んで、
いつものようにギターを弾いている

よかった、ここにいた
ほっとして、涙が溢れる

 

「あの人、亡くなってしまったんだって」

「…………」

彼が頭を撫でてくれている

表情は見えない

 


不思議なのは、亡くなったはずの彼が
ここにいる彼その人だということだ。

 


我々は、淡々と、なにかを梱包しはじめる
ひとつずつていねいに
それはまるで弔いのように
ひとことも言葉を発さず