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リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

溶けそうなしあわせ

 

 

帰りみち

だれもいない車道の真ん中を歩く

 

じぶんの腕をぎゅっと抱きしめる

このままわたしが

溶けてなくなってしまわないように

 

 

 

 

ライムが沈んだコロナ

鈍く灯る白熱球

古い音楽のポスターと

流れ続けるロックンロール

 

彼を構成するたいせつなもの

わたしの世界には

存在しなかったものばかり

 

はじめまして、と

そっと目を閉じて

あたたかい海のなかに潜っていく

 

 

 

 

なつかしい瞳の奥

やわらかく光をたたえて

どこまでも広がっていく宇宙

 

覗き込むと

吸い込まれる

溶けてしまう

  

時間がフリーズする

永遠に続くみたいに

 

 

 

 

 

きっと

わたしはまだ海のなかにいる

 

お月さまがほんのりと

頰を赤く染めている

 

 

 

 

誰かがはじめて

わたしに与えてくれた

溶けそうなしあわせ

 

 

ここにいていいんだ

このままでいいんだ

守られている安心感に

泣きそうになる

 

 

 

 

 

中学生みたいだって、かまわない

 

どんな瞬間もぜんぶ

わたしの宝物

 

 

 

 

やさしい音

 

さみしくて

こころがギュッと

小さくなって

  

優しい気持ちになれないとき

 

 

 

どうしても

昨夜は聴く気になれなかった

その音が

 

わたしの心を

すっぽり包んで

きれいな色で

満たしてく

 

 

 

 

いつも通りのあたたかさで

ひかりを奏でる

そのひとが

 

この広い空のどこかで

呼吸をしている

きっと、すぐそばにいる

 

 

 

ほんとうは

知っているのに

たまにわからなくなってしまうのは

わたしも、怖いから

 

夜道を歩く子どもみたいに

なんども確かめたいの

ちゃんと隣にいてくれることを

 

 

 

ひとりで握りしめてると思ってた

端っこは

ちゃんと

たいせつな場所に繋がってる

 

流れ込んでくる

あたたかくて、やさしい気持ち

 

 

 

そうだね

なんにも

怖いことなんてないね

 

 

 

 

 

たいせつなひとへ

 

 

 

夢にふらっと現れたひと

 

 

ずいぶん長いこと

会っていないなぁと思いながら

うとうとしていた時

 

 

 


そのひとは、訪ねてきた

わたしの夢の中に

 


ふらっと、引き戸の窓の向こうに

姿を見せる

片手をあげてニコニコしている

 


あれ、どうして、ここにいるの?

 


仕事中だったわたしは、とてもびっくりする

ちょっと待ってね

あわてて書類を片づける

嬉しくてなんだか、

そちらを見ることができない

 


気づいたら、姿がない

あれ、どこに行ったのかな

 


窓から顔を出すと

床に座り込んでネコを撫でているのがみえる

 

もう

どうしてそんなところにいるんですか

入ってきてくださいよう

と声をかける

 

 

彼はずっと下を向いている

聞こえているはずなのに変だなぁ

そう思いながら

こっそり、そのようすを見つめている

 

 

 

 

 

それだけ。

なんだかとても短い夢だった

 


夢の中でも

マイペースで

のんびりしてて

あんまりいつもと同じだったので

 


ふふっ、と、顔がほころんだ。

 


なんだか可笑しくて

ふてくされた気分も

どこかに行ってしまった

そんな朝

 

 

お布団で山をすべって飛ぼうとする夢

こんな夢を見た。

 

みんなで青い体操服を着て山登りしている。

 

中学校のときに仲良しだった友だちのきみちゃんと一緒に

なぜかお布団をずるずる引きずって

山に登っている。

重たいね。

でも、なんかすごく楽しいね

 

わたしは彼女の後を追いかけてく

いつもわたしを振り回す

無邪気で可愛い友だち

 

前にいる人たちが山を下っているのがみえる

きっとここが山のてっぺんなんだね

 

よし、やろう!

うわなんかドキドキするう

 一気に、お布団に乗ってすべり落ちる

 

めっちゃいいがあ

みんなまじめに歩いてるのに

こんなことしてるの、うちらだけだね

うけるう

その状況が楽しすぎて

わたしたちは笑い転げながら、山の斜面を猛スピードですべり落ちてく

 


お布団のすべりぐあいはなかなかいい

スピードもまあまあ出るし楽しいね

 

「ほら、重かったけどよかったじゃろ」

こっちを向いてなくても、声でわかる

彼女がどんな表情をしているか

わたしの前にいるきみちゃんは

いつだってマイペースで憎めない

一緒にいるとなんでも楽しいんだから

 

 


この斜面をすべり下りたら

こんどはあっちの山じゃな!

ここよりずうっと高く美しい山が、

はるか遠くに見える

 

 

 

そろそろ、日が傾きはじめている

山の斜面が、水を含んでキラキラと輝いている

アイボリー色の光に包まれて、金色に光っている

 

おしゃべりしているうちにたどりついた山の麓は

水ぎわの水面がキラキラしてとてもきれいだ

はるか遠くまで浅瀬がずっと続いている

 

 

まぶしくて遠くまでは見えないけど

きっと大きな海につながっている

金色に光る水面

空がオレンジとピンクに染まりかけている

 


お布団はちゃんと持ってる

ここからが本気だよ

「ほら、いけるくない?」

さっきみたいにお布団の上にお尻をのせてみる

 

 うーん、、

 

「飛べないね」

 

 いまは無理かもね、だってまだ、これはただのお布団だからさあ

 

それでも、心のなかで思う

念じればこれは容易く浮かぶだろう

それすら思い通りだってこと、わたしたちは知ってる

本気になったら、空なんてすぐ飛べるんだから

ただ、空に浮かぶのはコツがいるだけ

心から信じられたなら

キキみたいに

 


ちょっとすぐには無理かもしんないね

まあいっか、飛べなくても。

きれいだからいいや

 

 

 

彼女の考えてることは手に取るように分かる

みずみずしい彼女の息遣いが、すぐそばに感じられるから

言葉なんていらないね

こうして一緒に走ってるあいだは

脳みそがくっついてるんだから

 

 

 

わたしたちはなにが可笑しいのか、走りながらずっと笑いころげてる

わたしの先を行くのはいつもきみちゃんで

すがたが見えないのはわたしのすぐ横にいるから

 

 

もう、飽き性なんだから!

ついていくだけで大変だよ

 

 

 

 

夕焼けの光に透ける

きみちゃんの細い髪がとてもきれい

 

 

大きな海の上を、はしゃぎながら

ふたりでどこまでも走っていく

 

 

 

 

 

夜のおひさま

 


こころは先に、

答えを見つけてしまった

だけど

世界が追いつくには

きっとまだ時間がかかる

 


 

だから

どうして、いま、ここにそれがないのか

とても不思議だったり

とてももどかしかったり

 


どうしていまここにないの?って

だれかに尋ねてみたくなる

 


 

 

夜におひさまを探すようだ

どんなに目を凝らしても

夜におひさまは見えない

 

だけど

ほんとはいつも、

おなじところに存在していて

朝になればまた会える

 

  

こころは先に見つけてしまった

わたしは、信じてる

わたしの感じていることを

信じてる 

 

 

わたしの東京観①

 

まだまだ、ひと月も経ってないので

わからないことも多いけど、

今のわたしが思う、東京という場所の記録。

 

 

人との距離感について、感じることは

ドライで冷たいという表現もできるし

無遠慮に踏み込んでこない優しさ、

という表現もできる。

干渉されるのが苦手なわたしにとっては

とても自由だし、やさしい場所だと感じる

ぱっと見はツンとしていても、求めていけば、優しく笑顔を向けてくれる人も、助けてくれる人もいる。

そんな印象。

 

 

あと、標準語。

東京のひとの喋り方を

はじめ、オカマみたいでキモイ~と感じた記憶があるんだけど笑(ごめんなさい)


いまは、優しくてくせのない言葉だと感じるようになった。

毒っ気をきれいにアク抜きしたような感じというか

マルヤマさんが「フラット」と表現していたのが腑に落ちる

無味無臭で、さらさら流れていくかんじ?


生粋の東京の人、ってひとはごく少ないから

イントネーションで、なんとなく出身はわかるし

ほんのりペールトーンでのカラフルさはあるので

それで十分、察することができるってかんじ


それを表面には出さないのは、

単純に、そこでのカラフルさが不必要だということ

いろんな方言が飛び交ってたらコミュニケーションがとれないし

お互い意思疎通をスムーズにするための共通認識を持っていて

みんなで歩調を合わせている感じかな?

 

そうやって、先入観がなくなってきたからか

わたしも自然とそのさらさらした言葉に馴染んできた気がする。

 

 


あと、デザイン。

たとえば、自然の豊かさでいえば

わたしが育った岡山の街のほうがはるかに、豊かなのだけど


ただ、その、限られた材料を

たとえば、ここに生えている一本の樹をどのように見せればもっとも美しく印象的か

というようなことが、とても綿密に計算されている


その違いはとても大きくて

目にする広告も、看板も、街並みも、情報量が多いわりにストレスが少ないのは

こちらに届くまでの道すじがとても、きれいにデザインされているから。

然るべき場所に、しかるべきものがあるという感じで

なぜこれがここに?みたいなものは、あんまりない。

(でも、チンドン屋みたいな岡山駅前のイルミネーション、そういうのもなんだか愛らしくて、好きなんだけど笑)

 


ビル街の片隅にある植樹も

多摩川の土手をきれいに覆っている芝生も

ものすご~く、人工的

ものすご~く、人の都合でできてる

だけど、だからこそ、居心地がよくて。

 

まんまと、群れの中のアリンコのごとく

おおきな市場の流れに、

気持ちよく乗せられているわけです。

 

でも、そこに不愉快さがないのだから

それはそれで、また、一興かな。

 

 

いまのところ、そんな感じ。

つまり、けっこう、居心地がよいし、

好きになりそうという感じです。

 

続く。

 

 

 

猫のような魚を捕まえる夢

こんな夢をみた

 

友だちといっしょに

鬱蒼と茂った、山のなかに入る

 

山の、独特の圧迫感と、

濃くなっていく影、

 

「やっぱりわたしは、山よりも、海派だな」

友だちとおしゃべりをする

ざあっと、目の前に、懐かしい瀬戸内海がひろがる

白くて静かな海、思い出すように目を細め

 

ふっとふりかえると、

先程の山あいに戻っている

いつのまにか湖のほとりにいて

水の中は、おそろしく透明なエメラルドグリーン

いつか見た山口県の別府弁財天のような

 

 

その水の中で、たくさんの猫が泳いでいる

鯉のように密集して、スイスイとお互いをよけながら

 

猫の首から下は

ウミヘビのような一本足で

人魚のように足をくねらせ、器用に泳いでいる

そう

いますでに、湖面を見つめる視点にはなく

水族館の魚を見つめるのとおなじアングルで

じいっと観察しているわたし

 

色柄さまざまの猫たちは、

艶めかしく身体をくねらせて、すれちがう

深いエメラルドグリーンと、水面から差すやわらかな光を纏い、キラキラとした気泡がうまれる

息を飲むような美しさだ。

 

 

ふしぎと気持ち悪いとはあまり感じず

「そっか、野生のヤマネコってこんなかんじなんだ」

「はじめてみたー」

と、夢の中のわたしは妙に納得して感動している

 

 

友だちは猫のような魚を捕まえようとする

バシャバシャと身体をくねらせ、噛み付こうとする猫

びちっと、ヘビのように腕に巻きついている

 

 

わたしは、ちいさく悲鳴をあげながら

その様子を見ている

水族館でサメを見つめるように笑って

ガラス越しでもないのに

 

 

頭の片隅では

ほんのり、恐怖を感じているが

それはまだまだ、ぼんやりと遠い

 

 

 

猫たちはこちらを見ている

まるで魚のように無表情に

 

やめてよ、こっちに来ないでよーー

と、思いながら

笑っているわたし