listen こえびメモ

リスン・デザイン こえびのブログ

日々感じていることをつらつらと書きます。

エディトリアル演習の授業について

きのうは、よくわからないなりに一年間つづけてきた、非常勤講師のさいごの授業。

最後なので、チームごとにプレゼンしてもらう。

それぞれのプレゼンに対して感想を伝えてもらうと
「お洒落でいいなと思った」「なんか○○っぽくていいなと思った」

のように、抽象的な表現が多い。わたしもそうだった。

なぜそれがいいなと思ったのか、どこを見てそう思ったのか、「言葉」で説明できるように、なってほしいなと思う。
わかる人どうしだと、わかるんだけど、わからない人にその感覚が伝えられるのは、

いまのところ「言葉」だけなんだよ〜

「言葉」は、デザインと人をつなげるための「橋」になってくれる。

授業で伝えたかったけどうまく伝わったかどうか自信がないなぁ。



前期は、雑誌のトレースや新聞広告のトレースやマージンや文字組みの練習みたいな、たぶんわたしが生徒だったら「くそつまんない」ことばかりだったのだけど

そのせいか後期は授業取ってくれた子が減ってシュンとした。笑
後期はちょっと楽しい感じにしようと思って、グループ演習に。

 

3年生が5人で2年生が18人くらい、学年や科によってとうぜん技術も知識もちがうので、どうしたものかと思いつつ。

それぞれを編集部と仮定して、縦社会を意識できる構造をつくろうと思った。

「ホウレンソウ」(わたしも苦手なやつ)を、チーム内で徹底してもらって、LINEグループで密に連携をとってもらう。先輩の指示は絶対!先輩は責任を持って役割をふる。

冗談のつもりで、「やってみたかったらほんとにパン屋さんに取材してみてもいいよ」って伝えたら、みんな嬉々として取り組みはじめた。
「ほんとうの仕事みたいでわくわくした」そう。
(いきなり突撃取材した子もいたらしく)(ヒヤヒヤした)(お店の方ほんとうにすみません。。!)

授業を終えてみて、わたしの中で学んだこと。

・前半くそつまんなかったかもだけど、後期は本気でエディトリアルやりたい生徒が残った(文字を組むのは地味な作業の連続なので、これでいい気がする)

・欠席する人が格段に減った(チーム作業には責任感があるのだろう)

・3年生がそれぞれのやり方でリーダーシップ発揮するようになった。

・2年は3年の指導を受けて、マージンの取り方や文字の級数など格段に上手になった

・取材・撮影・原稿作成など、デザイン以外のこともトータルで考える機会になった

・生徒同士が仲良く親密になった(卒業しても大切な仲間になるといいね)

 

来年の課題をおぼえがき

「修正→完成」「企画書も提出」「前期ももうちょっと面白く」「2年生に基本を手っ取り早く」「就職のこと」「社会ともっとおもしろく絡むことができたら」

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このチームは手づくりでしおりを作ってくれた。イラストがとてもいいよね!美味しそう。

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この子は写真が得意な子。タマゴの照りっとしたところがちゃんと出るように、スマホでライトを当てたり試行錯誤。

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2年生が作ったページをまとめるのは、3年生のアートディレクター。勝手に直すんじゃなくて、理由をちゃんと説明して、指導してからデザインを修正しています(偉い!)

f:id:listen-design:20170131120646j:plain生徒が作ったラフデザイン。メルヘンという目の付けどころも面白いし、このラフはとても分かりやすい。

 

想いに輪郭をつけるということ

わたしは気持ちを言葉にするのが苦手だ。
うまく言葉で言い当てることができないから、口から出た瞬間に自分の言葉に対して興ざめする。とくに焦ってすきまを埋めようとしてしまったときは最悪。
たとえば、「好き」という言葉を使ったあととか。
「好き」の裏にあまのじゃくな「嫌い」が潜んでいたり、好きのグラデーションは無限にあったりするのに、たったひとこと「すき」に纏めてしまうなんて、なんてがさつな簡略化なんだろう。
どのあたりのどのような形状をしている感情か、正確に伝えたいと思うから、自然と言葉えらびは慎重になる。

ふわふわと漂っているままに自由なかたちを描いているそれを
言葉という輪郭に当てはめるということがそもそも好きじゃない。
とても窮屈なかんじがする。

これがわたしの、言葉に対する世界観だ。

なんだかすごく、距離がある。

でも、言葉とうまくつき合っている人は、そんなふうに捉えていないことも知っている。
音楽とか、リズム、みたいな軽やかなものかもしれない。
息をするように言葉がさらさらと出てくる人は、それだけですごい才能だな、と
あこがれまじりの視線でまじまじと観察する。かっこいいよね。
まあでも、自分はそういう人には逆立ちしたってなれっこないのだ。
うまいこと言えないから、絵を描いて表現してきたのだもの。

それでも、喋るのはどうしたって得意にはならないけど、こうしてつらつらと、ゆっくりと、輪郭を試しながら言葉を書くのはきらいじゃない。
さて、ゆっくりつき合っていけばよいのではないだろうか。
せめてもうすこしだけ、距離を縮まるように。
そうだね、がんばって手を伸ばせば、肩に触れられるくらいに。